仮想通貨取引所では、現物取引(スポット取引)以外にも、デリバティブ取引を行うことができます。
デリバティブ取引では、レバレッジがあったりなど現物取引よりもややこしい面もあります。
この記事では、デリバティブ取引の経験がない人向けに、注意点などをまとめて解説します。
無期限先物契約、四半期契約とは?
Binance(バイナンス)やBybit(バイビット)には無期限先物と四半期先物があります。これらはどちらも先物ということは分かりますが、では一体どのように違うのでしょうか?
無期限先物契約 | 一般的によく使われている取引です。無期限でポジションを保有することが出来る上に、取扱い通貨のラインナップも豊富なことが特徴です。 |
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四半期先物契約 | 四半期ごとに満期が到来し、決済される先物契約です。取り扱い銘柄は少ないです。四半期とは、3か月のことです。 |
無期限先物契約の方が海外取引所ではメジャーな取引形態です。一方、四半期先物契約は、限られた銘柄だけになります。
大きな違いは、「手数料」「資金調達」「保有期間」の3つです。手数料は参考までにBinanceのものを記載しました。
無期限先物契約 | 四半期契約 | |
取引手数料 | メ0.04%/テ0.02% | メ0.015%/テ0.04% |
資金調達 | あり | なし |
保有期間 | 無期限 | 四半期ごと |
流動性 | 高 | 低 |
※「メ」はメイカー手数料、「テ」はテイカー手数料です。
手数料形態は、仮想通貨取引所によってさまざまなので、一概にどちらが安いとは言えません。Binanceを例に挙げると、無期限先物契約がメイカー0.04%/テイカー0.02%であるのに対して、四半期契約ではメイカー0.015%/テイカー0.04%とメイカー手数料がわずかに安くなっています。
一方、Bybitでは、ポジションを持つ際や手動で決済する場合は無期限先物契約と同じ手数料ですが、満期が到来して自動で決済される場合は、0.05%の手数料となります。これは、メイカー手数料より高く、テイカー手数料よりも安い水準です。
資金調達については、四半期契約ではBinance・Bybitともに資金調達が発生しないので、無期限先物よりも取引コストが把握しやすいというメリットがあります。
しかし、四半期契約は四半期(3か月)しかポジションを保有することができず、満期を迎えると強制決済されます。また、無期限先物契約よりも利用者が少ないため流動性の面でも劣る傾向にあります。
一定期間のスイングポジションを持つ事が多いトレーダーならば、ランニングコストのかからない四半期契約を利用してみるのもひとつの戦略ですね。
レバレッジの仕組みに注意
先物取引では、Binance(バイナンス)では125倍、Bybit(バイビット)では100倍の高いレバレッジを利用できます。
高いレバレッジをかけると、それだけロスカット(強制決済)のリスクが高まってしまうため、レバレッジ取引では証拠金の余力に注意する必要があります。
海外取引所では、当初証拠金と維持証拠金の2種類の証拠金があります。
当初証拠金 | 新規のポジションを持つために口座内に保有している必要のある資金 |
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維持証拠金 | ポジションを保有している間に、口座内に保有している必要のある資金 |
このうち、ロスカット(強制決済)に関係するのは、「維持証拠金」です。
口座の資金である証拠金残高が維持証拠金を下回ってしまうと、ロスカット(強制決済)となります。
維持証拠金は、仮想通貨銘柄の価格の何%かに設定されており、その割合(維持証拠金率)は、ポジションサイズが大きくなるにつれて大きくなります。つまり、ポジションサイズが大きくなると自動的にレバレッジが引き下がり、より多くの維持証拠金が必要になる仕組みです。
海外取引所のレバレッジや維持証拠金については、この記事にまとめました。

レバレッジトークンとは?
Binance(バイナンス)やその他の仮想通貨取引所には、先物取引と違い清算(強制決済)リスクがほとんどないレバレッジトークンというものも存在します。
先物取引の2倍、3倍の値動きになる
レバレッジトークンは、先物取引で売買されている仮想通貨(原資産)の価格を参照して、あらかじめレバレッジ機能を組み込んでトークン化したものです。
例えば、レバレッジ2倍のレバレッジトークンを購入していた場合、原資産の価格が10%上昇すれば、レバレッジトークンの価格は20%上昇します。
先物取引のレバレッジや証拠金の制度は複雑ですが、レバレッジトークンの場合は、レバレッジがあらかじめトークン価格に組み込まれているので、シンプルに取引できます。
清算リスクは無いが手数料が高め
レバレッジトークンは、あらかじめ価格にレバレッジが反映されたトークンを購入・売却するという形で売買されます。そのため、ロスカットや強制清算がありません。清算リスクを抱えることなく、Binance(バイナンス)の場合最大で4倍までレバレッジを高める事が出来ます。
しかし、取引手数料はスポット契約と同じ手数料であることがほとんどです。資金調達も発生するため、取引コストの面では無期限先物契約の方が優れています。
まとめ
海外取引所は、現物取引に加え、先物取引やレバレッジトークンなど、さまざまな仕組みのサービスを利用できることが魅力です。
しかし、あまりに多様なサービスがあるため、混乱してしまうこともあります。取引を行う前に、それぞれのサービスの特徴を把握しておきましょう。
最も一般的に取引されているのは、無期限先物で、これは国内取引所や海外FX業者の仮想通貨FX(暗号資産FX)と同じ感覚でトレードできます。
最近は、海外FX業者で取引できる銘柄も増えているので、仮想通貨取引所よりも仕組みがシンプルな海外FX業者を利用するのも一つの手です。
