FXGTは、取引できる8種類の仮想通貨すべてについて、ドル建てだけでなく円建ての銘柄も用意しています。(日本人はほぼ使わないと思いますがユーロ建てもあります)
仮想通貨市場では、基本的にドル建てで取引されているので、円建てやユーロ建ては、スプレッドがドル建てと比較するとやや不利になっています。
しかし、円建てやユーロ建てにすれば、円やユーロの値動きもトレード戦略に組み込めるというメリットがあります。
今回の記事では、仮想通貨の円建て銘柄の仕組みやメリットを紹介します。また、実際の取引コストはどちらが安くなるかも検証します。
そもそも円建てのビットコイン銘柄とは?
ビットコイン(BTC)のレートが円で表示される銘柄です。
ビットコイン(BTC)は通常ドルと取引されるため、円建てのBTCJPYの銘柄は、BTCUSDとUSDJPYを組み合わせた銘柄ペアになります。
円でBTCを買う場合は、一旦円でドルを買い、その後ドルでBTCを買っています。取引が2回に分けられるため、その分スプレッドが広くなります。

実はFX銘柄も同じ仕組みで、国際的な為替市場では対ドルの取引がメインなので、ユーロ円(EURJPY)などのクロス円の銘柄は直接取引されていません、ユーロドル(EURUSD)とドル円(USDJPY)を組み合わせて取引されるため、こちらも対ドルペアと比較するとスプレッドが広くなります。
デメリットはスプレッドが広いことですが、メリットとしては次のようなものがあります。
・ビットコインのレートが馴染みのある円で表示される
・ドル円レートの影響も受ける
海外取引所を使っていると、ビットコインのレートをドルで把握するのが普通なので、円建てはむしろ使いづらいように感じますが、どうしてもドルだと価格がわかりづらいという人には表示面でメリットがありますね。
その他にも、ドル円レートの影響を受けるというメリットがあります。これについて詳しく解説します。
ドル円レートの影響を受ける
BTCUSDの週足チャートを左、BTCJPYのチャートを右に並べてみました。ほとんど同じで見分けがつかないですが、例えば右端から2番目のローソク足の色が違います。BTCUSDの方は陽線(上昇)、BTCJPYの方は陰線(下降)になっています。

なぜこの違いが生まれるかというと、BTCの値動きと同時にUSDJPYも値動きしているため、円換算した際のレートに影響を与えるからです。
そのため、ビットコインが上昇するだろうと予想して買いポジションを持つ場合、ペアとなる通貨の価値が下がれば、買いポジションでの利益がその分増えることになります。つまり、買いポジションを持つなら、ドルと円のうち価値が下がりそうな方のペアを選べば、より利益が上がる可能性があるということです。
仮に、「ドルは利上げ期待により上昇トレンドが強いので、円の方が価値が下がりそう」と予想したなら、BTCJPYでポジションを持つ戦略が有効ということになります。
具体的に、1BTC=50,000ドルが51,000ドルに上昇したのと同じ期間に、1ドル110円から111円に上昇した場合で計算してみます。保有ポジションは、1BTCの買いポジションです。
ドル建ての場合は、ドル建てでの損益1,000ドル分がそのまま損益になります。口座の基本通貨が円の場合、決済時点のドル円レートで円建てに換算すると、利益は「1,000ドル×111円=111,000円」になります。
一方円建ての場合は、「50,000ドル×110円=5,500,000円」と「51,000ドル×111円=5,661,000円」の差額が損益になりますので、差し引きすると「161,000円」の利益が出たことになります。
直観的に理解しづらいですが、1ドル110円から111円に上昇したということは、つまりドルに対する円の価値が下がっているということになります。価値が下がる通貨とのペアの方が損益が大きくなるということが確認できましたね。
FX銘柄との違いはボラティリティ
BTCUSDとBTCJPYの関係は、EURUSDとUSDJPYの関係と同じと説明したので、FXに慣れた人は疑問に思ったかもしれません。このBTCUSDとBTCJPYのチャートは一見すると同じ値動きに見えます。

一方、ユーロドル(左側のチャート)とドル円(右側のチャート)のチャートは、バラバラの値動きをしています。

これは、ビットコインとFX銘柄のボラティリティ(どの程度値動きするか)の違いです。
ビットコインの場合、チャートの値動きは、BTCUSDのレート変動とUSDJPYのレート変動をかけあわせたものです。しかし、BTCUSDの方がUSDJPYよりはるかに大きな値動きをするので、相対的にBTCUSDの影響力が強くなり、似たようなチャートになります。
例えば、ある週のBTCUSDは、約54,000ドルから63,000ドルまで、9,000ドルの値動きをしました。元の価格が63,000ドルであることを考えると、価格の14%の値動きです。
一方、同じ週にドル円は約1.5円値動きして112円になりました。これは、元の価格からするとわずか1%の値動きです。ボラティリティに14倍の差があるため、BTCJPYのチャートはBTCUSDのチャートに追随する値動きになります。
BTCUSDが本当にお得なのかを検証
スプレッドの面でいえば、BTCUSDの方が狭いです。なので基本的にはドル建てがコスト安となるはずです。しかし、口座の基本通貨が円建てだった場合、BTCUSDの損益は本来ドルで計算されるので、それを口座の基本通貨である円に変換する際損益に影響を与えるかもしれないと考え、今回検証を行ってみました。(ドル建て口座であれば、検証するまでもなくBTCUSDの方がお得です。)
複雑な話になりますが、BTCUSDの利益は、下記のように計算されます。
①1BTC=50,000ドルから50,100ドルに値上がりした場合、利益は100ドルです。
②利益100ドルを口座の基本通貨(円)で表示するため、そのブローカーが設定したUSDJPYのレートを使用して、円換算の金額を計算します。
前の章で紹介したとおり、BTCJPYというのは、そもそもBTCUSDとUSDJPYをかけあわせた銘柄です。
BTCUSDなら、海外の仮想通貨市場で直接取引されている銘柄なので、USDJPYをかけあわせる必要はありません。ただ、円建て口座を使っている場合、結局ブローカー側で損益計算の際にUSDJPYがかけあわせられる状態になっています。
つまり、そのコストがBTCJPYのスプレッドの不利分を上回れば、円建て口座の人にはBTCUSDの方がコスト高ということになってしまいます。(そのようなことは起こらないだろうと予想していましたが、念のため検証しました。)
BTCUSDとBTCJPYの買いポジションのエントリーを、ほぼ同時に行うことを10回繰り返し、損益が減っているかどうかを確認しました。

ほぼ同時にエントリーということは、ビットコインのレート自体は大きく動かないはずなので、同時にエントリーしたもう一方のポジションよりも損益が減っていれば、スプレッドなどのコストが高いと判断することができます。
10回試した結果は、BTCUSDとBTCJPYの損益が同じポジションが2個ありましたが、そのほかの8個はすべてBTCUSDの方が損益が有利になりました。
手動により約1秒がエントリータイミングがずれているので100%正確ではありませんが、はっきりとBTCUSD有利な結果が出ましたね。当初の予想通り、コスト面ではBTCUSDが有利と考えていいでしょう。
まとめ
円建ての仮想通貨銘柄には、ドル円のレートも影響を与えます。ただし、今回計算したように、ビットコインそのものの値動きの影響の方が強いため、基本的にスプレッドの狭いBTCUSDでトレードするのがいいでしょう。
ただ、スプレッドの差はそこまで大きくないため、ドル円の値動きを戦略に組み込みたい人には、BTCJPYもメリットがあるでしょう。円建ての仮想通貨銘柄を取り扱っている海外FX業者はとても少ないので、8種類の仮想通貨すべてに円建てペアがあるFXGTがおすすめです。
