海外取引所は、基本的に本人確認(KYC)なしで利用することができます。
以前は、Binance(バイナンス)やBybit(バイビット)などの主要な海外取引所では、KYCなしでも1日あたり2BTC(数百万円)の出金が可能でしたが、最近の海外取引所での規制強化の流れにより、事情が変わっていきています。
例えばBinance(バイナンス)は、2021年8月から、KYCなしの場合の1日の出金可能額を0.06BTCに引き下げました。まだKYCなしで高額の出金ができる海外取引所もありますが、今後の規制強化に備えてKYCを済ませておくのもいいでしょう。
また、KYCを済ませると、1日の出金可能額が増える以外にも、クレジットカード入金が可能、IEO(新規取引所公開)に参加できるといったメリットもあります。
この記事では、代表的な仮想通貨取引所のKYCの段階と必要な書類、それぞれの段階でできることをまとめました。
KYCを済ませるとできること
海外取引所でKYCを済ませると、下記のメリットがあります。
✔一日の出金可能額が増える
✔クレジットカード入金が可能
✔IEO(新規取引所公開)に参加可能
特に、IEOに興味がある方はKYCは必須です。
IEOとは、株式のIPO(新規株式公開)と似たような仕組みで、仮想通貨取引所を通じて、新規発行される仮想通貨への出資を募集する方法です。IEOで上場した仮想通貨は、その後大きく値上がりする可能性があります。
海外取引所のKYCは3段階
海外取引所には、いくつかの本人確認(KYC)のレベルが設定されています。KYCなし、KYCレベル1、KYCレベル2の3段階の海外取引所が多いです。
1日当たりの出金条件
ほとんどの海外取引所で、使うだけなら本人確認(KYC)は不要ですが、KYCをしているかどうかで出金時に制限がかかります。
一日当たりの出金上限額を、仮想通貨取引所ごとに比較してみましょう。
KYCなし | KYCレベル1 | KYCレベル2 | |
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0.06BTC | 100BTC | 無制限 |
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2BTC | 50BTC | 100BTC |
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出金不可 | 200万USDT | 500万USDT |
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0.7BTC | 20BTC | 2,000BTC |
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5BTC | 200BTC | 3000BTC |
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20BTC | 200BTC | – |
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1BTC | 5BTC | – |
BingBonは仕組みが複雑で、仮想通貨別に制限が設定されています。また、1日あたり/1取引あたり/累積出金額でも細かく制限があります。ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)と比較するとテザー(USDT)の制限が厳しいので、テザーを使って他の仮想通貨取引所に出金したい人は、早めにKYCを済ませておくのがおすすめです。
仮想通貨 | KYC未 | KYC済み |
USDT | 1日あたり1万USDT/1取引あたり1万USDT/累積出金額4万USDT | 1日あたり100万USDT/1取引あたり10万USDT/累積出金額制限なし |
ETH | 1日あたり50ETH/1取引あたり50ETH/累積出金額200ETH | 1日あたり400ETH/1取引あたり150ETH/累積出金額制限なし |
BTC | 1日あたり1BTC/1取引あたり1BTC/累積出金額4BTC | 1日あたり5BTC/1取引あたり2BTC/累積出金額制限なし |
ちなみに、各海外取引所で、KYCの段階は以下のような名称になっています。
KYCなし | KYCレベル1 | KYCレベル2 | |
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ベーシック | インターミディエート | アドバンス |
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レベル0 | レベル1 | レベル2 |
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KYCなし | ID検証 | ID検証2 |
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認証なし | 初級認証 | 上級認証 |
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認証なし | KYC1 | KYC2 |
海外取引所のKYCの傾向
Binance(バイナンス)が規制強化に動いていますが、他の取引所は比較的制限が緩い場合が多いです。というのも、海外取引所が日本人向けに営業することがそもそも違法なので、日本人を受け入れている業者はあまりコンプライアンスにうるさくない場合が多いからです。
比較的出金の制限が強かったFTXは日本人ユーザーの受け入れを停止しましたし、KYCなしでは出金不可のGate.ioも日本人向けには一部機能を制限しています。
一方、日本人向けサービスを積極的に展開しているBybit(バイビット)やBitget、Bingbonあたりは、違法であることは承知の上で活動していますので、KYC強化の流れにもそれほど簡単には乗らないのではないかと思われます。
なお、海外取引所が日本人向けに営業を行うことは違法ですが、個人が海外取引所を利用することは違法ではありませんので安心してください。
もちろん、日本の取引所と比較すると、万が一経営破綻が起きたときどうなるかわからないというリスクはありますが、国内取引所では仮想通貨サービスの種類が少なすぎるというデメリットがありますので、海外取引所のメリット・デメリットを両方考慮して利用するかどうか決めるのがいいでしょう。
KYCの必要書類
国内取引所では、口座開設の段階で運転免許証等の顔写真付き証明書と住所証明書の両方が必要ですが、海外取引所では、住所証明書はKYCレベル2以降で必要となることが多いです。
まとめ
これまでは、海外の仮想通貨取引所においてKYCを行うメリットは少なかったですが、規制強化により1日の出金可能額がどんどん引き下げられている状態なので、レベル1のKYCは終わらせておいた方がいいでしょう。
また、IEOに参加したい人にとっても必須ですね。