海外FX業者では、「最大レバレッジ」が提示されていますが、口座残高・ポジション量や銘柄によっては、レバレッジが制限される場合もあります。
この記事では、海外FX業者のレバレッジ制限の種類と特徴について詳しく解説します。
海外FX業者のレバレッジ制限
海外FX業者のレバレッジの仕組みは、3つに分けられます。
・レバレッジ制限非公開(個別判断)
・口座残高基準のレバレッジ制限
・ダイナミックレバレッジ
レバレッジ制限非公開(個別判断)
レバレッジ制限を公開していない海外FX業者は、レバレッジ制限が緩い場合が多く、ほとんどの利用者は制限がかけられませんが、全くかけられないわけではありません。
基準自体が公表されていないのではっきりしたところはわかりませんが、ある程度口座残高が多く、かつハイレバレッジのリスクの高いトレードをしている人は制限がかかりやすいようです。
レバレッジ制限非公開の代表的な海外FX業者はTitan FX(タイタンFX)です。FX銘柄と、ほとんどのCFD銘柄がレバレッジ500倍で取引できるため、シンプルでわかりやすいです。
Titan FXは2020年まではどの銘柄の取引でもレバレッジ500倍が適用されていたのですが、2021年に導入された仮想通貨など、一部の銘柄では銘柄別のレバレッジ制限が始まりました。
銘柄別にレバレッジが制限されるのは海外FX業者では一般的で、ほとんどの業者がFX以外のCFD銘柄のレバレッジを制限しています。
口座残高基準のレバレッジ制限
一定の口座残高を上回るとレバレッジが制限される仕組みです。
XMTrading(エックスエム)やExness(エクスネス)などが採用していて、XMは200万円以上でレバレッジが200倍、1,000万円以上で100倍に制限されます。
計算方法がシンプル、かつ自分がレバレッジ制限の対象になるかどうかが事前にわかるというメリットがあります。一方で、200万円を超えると、実際の保有ポジション量にかかわらず一気に証拠金が増えるというデメリットがあります。
XMは基本のレバレッジが888倍なので、必要証拠金が一気に4倍以上になります。
ダイナミックレバレッジ
仮想通貨FXで有名なFXGTや、Traders Trust(トレーダーズトラスト)など一部の海外FX業者が導入している方式です。保有するポジション量に応じてレバレッジが引き下げられます。
Traders Trustで説明すると、レバレッジは3,000倍からスタートし、最小で25倍まで引き下げられます。
レバレッジ | 取引量 |
3000倍 | 1ロット |
2000倍 | 1.01~5ロット |
1000倍 | 5.01~10ロット |
500倍 | 10.01~20ロット |
200倍 | 20.01~50ロット |
100倍 | 50.01~100ロット |
50倍 | 100.01~300ロット |
33倍 | 300.01~500ロット |
25倍 | 500.01~ロット |
各階層の上限金額までそのレバレッジが適用されるため、例えば合計で6ロット保有した場合、1ロット分がレバレッジ3000倍、4ロット分がレバレッジ2000倍となり、残り1ロットがレバレッジ1000倍となります。
ドル円の必要証拠金ベースで計算すると、各階層分の必要証拠金は下記の通りになり、合計の必要証拠金は約36,700円です。
レバレッジ | 取引量 | 必要証拠金 |
3000倍 | 1ロット | 約3,700円 |
2000倍 | 4ロット(累積5ロット) | 約22,000円 |
1000倍 | 1ロット(累積6ロット) | 約11,000円 |
合計 | 6ロット | 約36,700円 |
ダイナミックレバレッジは、このように必要証拠金の計算が複雑になりますが、一定のロットまでは、高いレバレッジで取引できるというメリットがあります。
例えば、Traders Trustは2021年にこのダイナミックレバレッジを導入する前は、最大レバレッジが500倍に設定されていました。この500倍だと、同じドル円6ロットを取引する際の必要証拠金が約13万円になるため、ダイナミックレバレッジではかなりのハイレバが行えることになります。
銘柄別のレバレッジ制限
海外FX業者では、数百倍のレバレッジが利用されるのは基本的にFX通貨ペアのみです。株価指数などのCFD銘柄は個別銘柄のレバレッジ制限が別途適用されます。また、FX銘柄であってもトルコリラなどのマイナー通貨を含む場合はレバレッジが制限される場合もあります。
CFD銘柄のレバレッジ制限
CFD銘柄を取引する際には、「FX通貨ペアと同じレバレッジが適用されることはほぼない」という認識で、事前にレバレッジを調べておくのがいいでしょう。
Titan FX(タイタンFX)は例外的に、仮想通貨銘柄と個別株を除くすべてのCFD銘柄に、FX銘柄と同じレバレッジ500倍を提供していますが、基本的に他の海外FX業者ではレバレッジ制限がかかります。
Titan FXはCFD取引を行うトレーダーに人気ですが、その理由の一つにレバレッジの高さがあります。
マイナー通貨
メジャーな通貨(ドル、ユーロ、ポンド、円、豪ドル、ニュージーランドドル)を組み合わせた通貨ペアは基本的にレバレッジは制限されません。
スイスフランはマイナー通貨ペアに区分されるほど取引量は少なくないですが、スイスフランショックなどで大きな変動を起こした歴史もあるため、海外FX業者や時期によってはレバレッジが制限されることもあります。
その他にも、トルコリラやメキシコペソなどのエキゾチック通貨はレバレッジ制限の対象となりやすいです。
もちろん、すべての海外FX業者がこうした銘柄のレバレッジを制限しているわけではなく、Titan FX(タイタンFX)のように制限が一切ない場合もあります。
証拠金の仕組みが複雑な海外FX業者に注意
最大レバレッジというのは、「その海外FX業者が許容できるリスク」を表しているとも言えます。
レバレッジが高くなればなるほど、少しの値動きでロスカットが発生し、ロスカットが間に合わずにマイナス残高になってしまうリスクも高まります。海外FX業者がレバレッジを設定しているのは、顧客のマイナス残高分を負担する(ゼロカット)を避けるためなので、逆に言えば、ゼロカットを負担することになったとしても大きな負担ではない少額トレードの場合には、1000倍を超える超ハイレバレッジを提供することができます。
例えばTraders Trustで、2021年にそれまでの固定レバレッジからダイナミックレバレッジに切り替えたのは、この少額トレードに特別なハイレバレッジを提供するためです。Exness(エクスネス)も、同様に口座残高が4,999ドル(約50万円)までは2,000倍のレバレッジを提供しています。
ユーザー向けのサービスとしてこのような制度を導入しているのですが、その分証拠金の計算が複雑になるというデメリットはあります。ダイナミックレバレッジの海外FX業者を利用する際は、証拠金の目安をつけるため、ざっくりと高めのレバレッジで計算するのをおすすめします。