変動損失とは、分散型取引所(DEX)などのDeFiサービスの流動性プールに仮想通貨のペアを預け入れることで報酬がもらえる「イールドファーミング」において発生する損失を指します。
具体的には、仮想通貨を預け入れた場合を、預け入れずに自分で仮想通貨を保有し続けた場合と比較して損失になる分のことです。この損失が発生する理由は、分散型取引所(DEX)などの流動性プールに仮想通貨のペアを預け入れた場合、預け入れ時の枚数ではなく、引き出し時に流動性プール内に存在するその仮想通貨ペアの比率で引き出しが行われるからです。
DEXで説明します。
DEXは取引所なので、例えばある仮想通貨Aを別の仮想通貨Bに変えたいというお客さん、または逆に仮想通貨Bを仮想通貨Aに変えたいというお客さんのために、常にさまざまな仮想通貨を保有しておく必要があります。デジタルデータではありますが、大量の仮想通貨を一か所に集めているイメージで、この仕組みが「流動性プール」と呼ばれています。
この流動性プールに自分の持っている仮想通貨を預けて、運営に貢献しているため、ファーミングで報酬がもらえます。
預け入れた枚数ではなく、引き出し時にプール内に存在するそのペアの比率に応じて引き出す仕組みのため、大きな価格変動があったときに、預け入れた枚数でそのまま保有していた方が、全体の時価総額が大きくなり、イールドファーミングを行ったことで損をしてしまうという可能性もありえます。
例えば、預け入れ時にETHと同じ価格の仮想通貨Xがあったと仮定します。預け入れ時は1ETHと1Xを預け入れましたが、その後、ETHの価格が上昇すると、Xを売ってETHを買う取引が盛んにおこなわれます。
「Xを売ってETHを買う」というのはトレーダー目線の話なので、取引所の流動性プールの側から見ると、「Xがどんどんプールに追加され、ETHがプールから出ていく」という状態になります。
すると、プール内のETHは減り、Xが増えてしまいます。
この状態で引き出しを行うと、1ETHと1Xで預け入れていたにもかかわらず、プール内の割合に応じて、受け取れるETHが減る代わりに、受け取れるXは増えます。
このときのETHとXの合計の時価総額が、預け入れ時の1ETHと1Xの合計の時価総額と比較して減少していた場合を「変動損失」と呼びます。