仮想通貨

【Bybit】インバース型無期限契約のやり方

Bybit(バイビット)でクリスマスのトレード大会「Jingle Brawl(通称ジンブロ)」が開催されていますが、対象の通貨ペアがインバース型無期限契約のBTC、ETH、EOS、XRPのみとなっています。

USDT無期限契約しかやったことがない人にとっては仕組みが違ってやりづらいのではないかと思われますので、使い方を詳しく解説します。

基本的な仕組みはUSDT無期限契約と同じですが、契約数量をドル建てで入力するのが大きな違いです。

インバース型無期限契約とは?

USDT無期限契約の場合は、デリバティブアカウントにテザー(USDT)を入れ、それを証拠金としてトレードしますが、インバース型無期限契約では、デリバティブアカウントにビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの仮想通貨を入れ、それを証拠金としてトレードします。

現物の仮想通貨を保有しつつ取引ができるので、例えば、ビットコインやイーサリアムが長期的には値上がりすると考えて現物を保有している人でも、現物を保有したままデリバティブアカウントでトレードができるというメリットがあります。

現物は現物で保有し、デリバティブアカウントに別途テザーを入れるということをしなくていいので、現物の長期投資をしている人には便利な契約形態ですね。

仕組みは単に証拠金の違いだけなのですが、証拠金が変わったことにより、注文方法や必要証拠金・維持証拠金の計算方法が少しややこしくなります。

インバース型無期限契約の注文方法

インバース型無期限契約を取引する際、必須で指定しなければいけない項目と、オプションで選べる項目があります。

必須指定項目

①全般的なレバレッジ設定、②注文方法(指値・成行・条件付)、③注文価格(指値注文の場合)、④契約数は必須で指定が必要です。下記の赤字部分を入力すれば、後は未入力でも注文できます。

Bybit注文パネルの必須指定項目

USDT無期限契約と違うのは、「契約数」の部分です。USDT建ての場合、1BTCなど、購入する仮想通貨の単位を入力しますが、インバース型無期限契約ではドル建ての金額で入力します。

単に逆になっているだけなので、例えば1BTCが50.000ドルのときに、契約数を「10,000USD」と入力したら、0.2BTC購入していることになります。

注文時はUSD表記になりますが、ポジション情報には、契約数量と、仮想通貨の単位に変換した場合どの数量になるかが両方表示されます。インバース型無期限契約のポジション情報

なお、他の設定はUSDT無期限契約と同じです。

全般的なレバレッジ設定では、「クロス」か「分離マージン」かを選択し、最大レバレッジを指定します。

クロスマージンは、デリバティブアカウント内のすべての資金を証拠金として利用する方法です。そのため、損失金額として考えられる最大額は、このすべての資金となりリスクが高くなります(BTCやUSDTなど証拠金として使用しているのと同じ仮想通貨の残高のみが対象で、他の仮想通貨には影響がありません)。一方、分離マージンは、ポジションごとに最大の損失金額を設定するため、損失リスクが自分が指定した金額に限定されます。

最大レバレッジは、デフォルトでは10倍に設定されていますが、BTCだと最大100倍、アルトコインだと50倍または25倍に引き上げることができますので、ハイレバで取引したい場合は引き上げておきましょう。

注文方法としては、指値・成行・条件付が選択できます。指値を選んだ場合は、注文価格も指定する必要があります。

インバース型無期限契約の必要証拠金・強制決済価格

必要証拠金、維持証拠金については、USDT無期限契約の場合USDT建て、インバース型無期限契約の場合は、取引している仮想通貨建て(BTCUSDの場合はビットコイン)で計算されます。

らっこ
らっこ
インバースというのは、英語で「逆」という意味だから、証拠金関係も逆になるんだよ!

ポジション量が同じであれば、最初の必要証拠金金額は同じになるのですが、USDTの方が直観的に計算しやすい式になっています。

必要証拠金・維持証拠金

USDT無期限契約の場合は、必要証拠金がシンプルに下記の計算で算出できるので、50,000ドルのときに0.2BTC、レバレッジ100倍で購入したとすると、「0.2×50,000÷100」で100ドルが必要証拠金になります。

契約サイズ x 参入価格÷レバレッジ

一方インバース型無期限契約の場合は、USD(ドル)単位で注文するものの、必要証拠金はBTC単位に変換して計算する必要があるという仕組みなので少し面倒になります。

契約数量÷(注文価格xレバレッジ)

50,000ドルのときに10,000ドル分を、レバレッジ100倍で購入したとすると、「10,000÷(50,000×100)」で0.002BTCが必要証拠金になります。

0.002BTCを1BTC=50,000ドルで計算すると、100ドル相当になるので、結局USDT無期限契約とインバース型無期限契約の必要証拠金は同じになりますね。

たぬき
たぬき
計算方法が異なるだけだね!

レバレッジは基本的に、「取引したい資金量の何分の一の資金があればポジションを持てるか」を示す数値なので、注文レートが同じであれば、ざっくりと「USD建ての契約数量÷100」で計算しても同じ数値になります。

「50,000ドルのときに10,000ドル分を、レバレッジ100倍で購入」という上記の例でいえば、「10,000÷100=100ドル」になりますね。

インバース型無期限契約の必要証拠金はBTCなど取引している仮想通貨の単位で計算されるため、ドル換算での金額はリアルタイムに変動するという点がUSDT無期限契約との違いです。維持証拠金を「必要証拠金÷2」で計算している人は、最初からドル換算で計算してしまうとレートによって金額が異なってしまいますので、正確な数値は、正式な計算式である「契約数量÷(注文価格xレバレッジ)」で把握するようにしましょう。

ポジション履歴に表示されるので、ポジションを持った後ならすぐに確認できます。

強制決済価格の計算

強制決済価格の正式な計算は非常に複雑なので、ざっくりとしたイメージで説明すると、アカウント内の残高から含み損を差し引いた金額(つまり実質的な残高)が維持証拠金を下回ってしまうと、強制決済が発動します。

Bybitの強制決済価格

1BTC=50,000ドルのときに10,000ドル分(0.2BTC)を、レバレッジ100倍で購入したとすると、「10,000÷(50,000×100)」で0.002BTC(100ドル)が必要証拠金になります。維持証拠金は、その半分の0.001BTC(50ドル)です。

アカウント内の資金が0.011BTC(550ドル)だとすると、500ドルの含み損が発生した時点で、「アカウント残高から含み損を差し引いた金額」が維持証拠金50ドルを下回るため、強制決済が発動します。

強制決済価格の計算

1BTC=50,000ドルでポジション量が0.2BTCだと、500ドルの含み損が発生する価格は、50,000より2,500ドル下の47,500ドル(ロングポジションの場合)になりますので、強制決済価格はおおむね47,500ドルになります。

らっこ
らっこ
1BTCで2,500ドル値動きするのと、0.2BTCで500ドル値動きするのは同じ意味だからね!

実際にはもっと複雑な計算式になっていますが、大体上記のイメージになります。具体的な計算式は、Bybitの公式ページを参考にしてください。

細かな数値になってしまいますが、実際のポジション履歴の数値を当てはまると、下記のようになります。(4回に分けてポジションを持っていることと、Bybitの正式な計算式ではなく概算の方法を使っているため、微妙に誤差が発生しています。)

インバース型無期限契約の必要証拠金実際の計算

このポジションでは強制決済価格は44,375ドルとなっていますが、強制決済価格の大体の数字は、このポジション履歴からわかる「価額」、「平均参入価格」、「ポジション証拠金」の3つの数字と、「アカウント残高」から計算できます。

・価額0.2989BTC

・平均参入価格:46837.9

・ポジション証拠金:0.0032BTC(つまり維持証拠金は0.0016BTC)

・アカウント残高:0.01832245BTC

ポジション証拠金が「0.0031BTC」となっているので、維持証拠金は0.0016BTCとなります。

アカウント残高から含み損を引いた金額が維持証拠金を下回ると強制決済が発動するので、

0.01832245BTC – (含み損)< 0.0016BTC

この計算式で、強制決済が発動する含み損水準は「0.01672245BTC」となります。

強制決済価格をドル換算で算出するには、「0.2989BTC」のポジションで「0.01672245BTC」の含み損が発生する水準が、「1BTC」のポジションで何ドルの損失が発生するかに変換する必要があります。

「1BTC」は「0.2989BTC」の「3.3456倍」なので、「0.2989BTC」で「0.01672245BTC」の含み損が出る水準は、「1BTC」で「0.05595BTC」に相当します。

「0.05595BTC」を、「平均参入価格:46837.9ドル」を使ってドルに換算すると、「2,620ドル」になります。つまり、平均参入価格から「2,620ドル」不利な価格に移動すると、強制決済されるということになります。

ここで答え合わせをしてみましょう。「強制決済価格」として表示されている金額は、「44375ドル」で、平均参入価格から「2,462ドル」不利な価格になっていますね。

インバース型無期限契約の必要証拠金実際の計算

Bybitの正式な計算式を使うと、決済の際に成行注文を行う分の手数料(0.075%)が含まれるなどもっと複雑になりますので、上記のざっくりした計算を使う場合は、計算した結果より少し現在レートに近い場所に強制決済価格が来ると考えてください。

ちなみに、Bybitでは「強制決済価格」と「破産価格」が別に設定されています。この2つの関係は、強制決済価格の方が、破産価格より少し上に設定されています。強制決済価格は、強制決済が開始する価格で、破産価格は、証拠金がゼロになる価格です。

強制決済価格と破産価格

一般的に意識する必要があるのは「強制決済価格」の方です。Bybitは、アカウント内の資金以上の損失が発生しない「ゼロカット」の仕組みを採用しているため、例えば板取引で大幅にスリッページが発生し、破産価格よりはるかに不利なレートで約定してしまったとしても、破産価格で約定したということにしてくれます。差額はBybitの「保険基金」から補填されます

その代償として、強制決済価格でポジションの清算が開始した後、破産価格より有利な価格で決済した(つまりアカウント内に証拠金が少し残る)状態であったとしても、残りの証拠金は「保険基金」に徴収されてしまいます

ユーザーとしては、強制決済価格でポジション整理が開始することには変わりないので、破産価格についてはあまり気にする必要がありません。

現物を保有しながらトレードするのに便利

証拠金について考えるのが面倒なので、USDT無期限契約ばかり使っていましたが、ビットコインやイーサリアムのメジャーな現物を保有しながらデリバティブ取引ができるインバース型無期限契約は便利ですね。

契約数量をドル建てで入力する以外は、基本的にUSDT無期限契約と同じ感覚でトレードできますので、現物を持っている人は試してみてください。