MT5には、「ネッティングアカウント」と「ヘッジアカウント」があるという話を聞いたことがある人もいるでしょう。
結論から言えば、日本人を受け入れている主要な海外FX業者で、ネッティングアカウントを採用しているところはほとんどありません。なので、あまり気にする必要はなく、基本的にヘッジアカウントと考えてOKです。
例外的に、日本人の利用者は少ないですがFXProはデフォルト状態でネッティングアカウントになっています。別途申請すればヘッジアカウントに切り替えられるそうです。
ほとんどのブローカーでヘッジアカウントなので気にする必要はないと言っても、「ネッティングアカウント」とはなんなのか気になる方もいると思いますので、簡単に説明します。
ネッティングアカウントは両建て不可
「ヘッジ」というのは両建てのことなので、ヘッジアカウントというのは「両建て可能なアカウント」のことです。その反対の「ネッティングアカウント」とは、ざっくりいうと「両建て不可のアカウント」になります。
「両建て不可」というのがどういう状態かというと、例えばドル円の「売りポジション」と「買いポジション」を同時に保有することができないということです。
「売りポジション」を1ロット保有している状態で「買いポジション」を1ロット発注すると、「買いポジション」が追加されるのではなく、1ロット分の「売りポジション」が決済されます。
このように、「両建て不可」と考えるとイメージしやすいですが、もっと正確に言うと、ネッティングアカウントは「1つの銘柄につき1つのポジションしか持てない仕様」です。つまり、例えばドル円1ロットの「買いポジション」を持っている段階で、さらに1ロットの「買いポジション」を注文すると、2つのポジションが合体されて、MT5の保有ポジション欄には「2ロット分の買いポジションが1つだけ」表示されます。
ネッティングアカウントの挙動
ルールをまとめると下記の通りですが、実際に画像で確認してみましょう。
・同一銘柄の売りポジションと買いポジションを同時に保有することができない
・同一銘柄の同じ売買方向のポジションを持った場合、同じチケット番号で追加される
今、ビットコイン(BTCUSD)の買いポジションを0.01ロット持っているとしましょう。

この状態から、売りポジション0.01ロット分の注文を入れると、上記の買いポジションが決済されます。
一方、買いポジションの0.01ロット分よりも多い0.02ロット分の売りポジションの注文を入れると、この0.02ロット分が、買いポジションの決済(0.01ロット分)と、新規売りポジション(0.01ロット)に分割された結果、0.01ロット分の売りポジションに変化します。

また、買いポジション0.01ロットを持った状態から、さらに買いポジション0.01ロット分を発注すると、買いポジション0.02ロット分に変化します。

どのパターンでも、「1銘柄につき1ポジション」しか保有できないということがわかりましたね。
もちろん、別銘柄であれば別のポジションになりますので、例えばビットコイン(BTCUSD)とライトコイン(LTCUSD)のポジションを1つずつ持っている場合などは、ポジション一覧が複数になります。

ネッティングアカウントのメリットは特になし
正直なところ、ネッティングアカウント(Netting)のメリットはあまりないです。FXでは、両建てを戦略に含めている人も多いので、あえてネッティングアカウントを使いたい人は少ないでしょう。
実際、ネッティングアカウントの採用ブローカーは少なく、世界的にヘッジングアカウントが主流です。そのためあまり気にする必要はないのですが、知識として知っておきたい人のために紹介しました。