トルコリラが大暴落しています。少し前までは、トルコリラ円が15円台の水準でしたが、急激に下がって今は8円台になっています。
すでに相当に下がっているわけですが、ファンダメンタル要因を考慮するとさらに下がるという見方が強いようです。しかし、もしここから上昇するようであれば、スワップポイント+値上がり益で大きな収益が見込めますね。
博打をしてみたいような状況にもなってきています。そこで、海外FX業者を使ってトルコリラに現段階で投資するとどうなるのかを検証してみました。
トルコリラ対応の海外FX業者
海外FX業者では基本的にトルコリラ円の取り扱いはありません。トルコリラ銘柄だと、ドルトルコリラ(USDTRY)またはユーロトルコリラ(EURTRY)になります。
基本的にはドルトルコリラよりユーロトルコリラの方がスワップ投資に向いています。
スワップポイントは政策金利の差になりますので、トルコリラの政策金利が同じであれば、ペアとなるもう一つの通貨の政策金利は低い方がスワップポイントは多く受け取れます。その点、長年超低金利の日本円がベストですが、ユーロもコロナ前からずっと低い政策金利ですので、今後もドルよりは金利が大きく上がる可能性は低いでしょう。
外為どっとこむの政策金利比較ツールで比較してみました。日本とEUはずっと低金利ですが、アメリカはコロナ前は比較的高い金利水準となっています。
なお、コロナでアメリカも低金利になっているため、純粋に現時点でのスワップポイントを比較するなら、どちらの銘柄を選んでもあまり差はありません。ブローカーによって、ドルトルコリラの方が有利な場合もあります。
ちなみに、1ロット単位のスワップポイントの金額でいえばユーロトルコリラの方が大きくなります。それは単純に1ドルが現在レートで1.3000ユーロ程度なので、ユーロトルコリラの方が、1ロットあたりで購入しているトルコリラの量が大きくなるためです。
海外FX業者のスワップ一覧
まず前提として、スワップポイントは、海外FX業者が勝手に設定しているものです。
おおむね各国の政策金利に基づいて決定されますが、そこから海外FX業者が得る利益分が加味されますので、プラススワップとマイナススワップに差が生まれます。
スワップポイントであまり儲けようとしていない海外FX業者は、プラススワップとマイナススワップの差を小さく設定していますが、逆に儲けようとしていない業者は差を大きくしているということですね。 それでは、各海外FX業者のスワップポイントをユーロトルコリラで比較してみましょう。トルコリラ円が8.2円で換算しています。
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2,830円 |
FXGT![]() |
1,362円 |
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781円 |
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451円 |
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マイナス82円 |
圧倒的にスワップポイントが有利なのはTitan FX(タイタンFX)になりました。Titan FXは、他の銘柄でも全体的にスワップポイントが高いのが特徴です。
2番手は意外にもFXGTです。FXGTは、仮想通貨銘柄のスワップポイントが非常に不利なのですが、トルコリラに関してはそこそこの水準のようですね。FXGTのスワップポイントはTitan FXと比較するとほぼ2分の1の水準ですが、時期によっては数十万円の100%ボーナスがもらえる業者なので、100%入金ボーナスで資金を倍にして倍量のポジションを持つことで実質的に同額のスワップポイントを受け取るという方法もあります。

XMTrading(エックスエム)とEXNESS(エクスネス)は、上記2社と比較するとスワップポイントは低めなので、トルコリラ投資には向かないといえるでしょう。Traders Trust(TTCM)は、トルコリラにもかかわらずマイナススワップなので、論外ですね。
EXNESSは、銘柄によってはスワップフリーのサービスを打ち出しており、元々プラススワップには力を入れていません。Traders Trustはどちらかというとスキャルピング向きの業者で、ほとんどの銘柄のスワップポイントが不利なので、仕方ないともいえます。
トルコリラスワップの計算方法
ちなみに、XMTradingとTraders Trustにはスワップ計算機という便利なものがあるので、すぐ計算できます。
他のブローカーは、MT4・MT5の「仕様」に書いてある情報から計算するしかありません。方法はややこしいのでこの記事にまとめています。

ユーロトルコリラの計算方法を簡単にまとめると、計算方法が「ポイント」と表示されていた場合、多くのブローカーで下記の方法で計算できます。これは、「レート表示が5桁、かつ1ロットの単位が10万通貨」という条件のブローカーの場合の計算方法なので、条件が変われば計算式も異なりますが、ほとんどの場合そのまま式が適用できます。
0.00001×ポイントの数値×10万×トルコリラ円の現在レート
Titan FXだと、ポイントの数値が「345.13ポイント」なので、上記にあてはめると、「0.00001×345.13×10万×8.2=2,830円」となります。
強制ロスカットされないポジション量にすること
トルコリラ投資をする際は、強制ロスカットされないポジション量にすることがとても大切です。ロット数を上げれば得られるスワップ利益も増えますが、途中で強制ロスカットされてしまっては意味がありません。
具体的には、「どこのレートまでトルコリラが値下がりしたら強制ロスカットされるか」を計算しておく必要があります。
ここからは、適切なポジション量を考えるための具体的な方法を紹介します。
最大損失を把握する
自分の資金量と保有予定のポジション量が決まっていれば、どの程度の値動きまで耐えることができるかを計算できます。
そのために、まずはXMTradingの計算ツールを利用して「pips値」を計算します。pips値とは、1pipsの値動きが日本円でいくらになるかを計算するものです。
銘柄名を「EURTRY」、口座の基本通貨を「JPY」、口座タイプを「Standard」、ロット数を「1」と入力して計算すると、日本円でのpips値は「82」と表示されます。 これは、ユーロトルコリラ(EURTRY)を1ロット保有している状態で1pipsの値動きをすると、82円分の損益に相当するということです。
1pipsが82円ということは、100pips値動きすると8,200円、1,000pips値動きすると8万2,000円、1万pips値動きすると82万円ということが計算できますね。
Titan FXの場合ユーロトルコリラの必要証拠金は約2万5,000円、かつ強制ロスカットが発生する水準が20%なので、ざっくり1万2,000pips程度の値動きには耐えられるということです。
値動きの幅を予測する
1万2,000pips耐えられることはわかったので、次は、1万2,000pipsを超える値動きが発生する可能性がどれぐらいあるのかを予測しましょう。 トルコリラの月足チャートです。赤のラインが現在レート、黄色のラインがそれより1万2,000pips分上のレートです。 1万2,000pipsというと大きいように見えますが、チャートで見ると現在レートのすぐ近くですね。
しかも、2021年11月の月足では、4万6,000pips急上昇していますので、1万2,000pips程度の値幅では、最悪1か月であっという間に到達してしまう可能性があるということです。
となると、100万円の資金で1ロットのポジション量は多すぎるという判断になる人がほとんどでしょう。 それではどのロット数が適切なのかという問題ですが、それはどのくらいのリスクを取るかによっても変わってきます。 例えば、ロット数を2分の1にすると、耐えられるpipsはおよそ倍になりますので、0.5ロットだと黄緑のラインまで耐えられます。3分の1の0.33ロットまで減らすと、青のラインまで耐えられます。現在レートと青のレートの間は約3万4,000pipsです。
2021年11月の値動きはかなり急でしたし、同様の値動きが発生する可能性は低いと予想するなら、青のラインにすぐに到達してしまう可能性はあまり高くないでしょう。しかし、数年単位で保有することを前提にすると、いずれこのラインも突破されてしまうかもしれません。
1年間の収益を考える
年数が経過するごとにスワップポイントがたまっていくので、この強制ロスカットラインは上がっていきます。
Titan FXのスワップポイントの2,830円だと、0.33ロット保有していたら1年間のスワップポイントは約33万円です。
レートが変わればpips値も変動しますが、仮にpips値が82円のままだとすれば、これは4,000pipsに相当しますね。 そのため、1年耐えるとロスカットラインが少し上に行き、紫のラインになります。
2021年11月に急激な値動きが発生する前の1年間、つまり2020年10月から2021年11月を見ても実は3万pips以上の値動きが発生しています。 それを考えると、100万円の資金に対して0.33ロットのポジションを持ち、初期状態で強制ロスカットラインまで3万6,000pipsの猶予があり、毎年4,000pips分強制ロスカットラインが移動するといっても、十分な水準ではないことがわかりますね。
トルコリラは買ってはいけないという風に言われることもありますが、データで見てみると確かに買ってはいけないように見えます。
まとめ
チャートを見ながら考えてみるとかなりのリスクの方が高いように見えますが、仮に2021年11月の最安値までレートが全戻ししたとすれば、0.33ロットでも120万円以上の利益がでます。
さらに、ここで完全にトレンド転換してリラ高に向かえば、0.33ロットであっても、為替差益を得つつ年間33万円の収入が自動的に入ってきます。
実態を見れば、トルコリラで損をしている人の方が圧倒的に多いわけですが、それでも底値狙いで買ってしまう人がいるのも理解できます。
実際筆者も少しユーロトルコリラを買いました。トルコリラ安のトレンドが今後変わるかどうかはともかく、11月の急激な上昇からは少し戻すのではないかと考えたからです。
しかし、実は2019年にも2020年にもスワップ投資を考えたことがあったのですが、そのときに投資していたら危ないことになっていました。
2020年当時は15円が底だろうというような意見の人もいたのですが、そんなことは全くなく8円まで下がってしまいました。 トルコリラに手を出す際には、底はない(つまり最悪デフォルトして0円まで行ってしまう)という認識を持つくらいがいいのかもしれません。